変性疾患の治療
高齢化社会の到来とともに、神経変性疾患や認知症の患者の数は、増加傾向にあります。
神経変性疾患の発症原因は、いまだに完全には解明されておらず、特定の神経細胞に障害が生じることで多様な症状が現れる病気です。
現代の高度な医療技術をもってしても、これらの疾患の根本的な治療法は確立されておらず、主に症状を和らげる対症療法が中心となっています。
しかし、近年では再生医療が大きな注目を集めています。再生医療は、患者様ご自身の幹細胞を抽出し、培養して増殖させ、それを体内に戻すことで治療を行う方法です。
投与された幹細胞や分泌される液性因子が、損傷を受けた神経細胞を保護し、組織を修復することで、神経変性疾患の進行を抑える効果が期待されています。
当院では、神経変性疾患に苦しむ患者様へ再生医療を提供しています。
神経変性疾患に共通すること
神経変性疾患の多くでは、タンパク質が異常に凝集し、蓄積することが疾患の発症に深く関わっていると考えられています。
それぞれの病気に関わるタンパク質はそれぞれ異なる疾患に関連していますが、共通して構造が不安定なタンパク質で、異常な構造(ミスフォールディング)になりやすい特徴があります。
このミスフォールディングが進行すると、タンパク質が凝集し、神経細胞内やその周辺に蓄積していきます。
研究によると、このタンパク質の凝集過程で、細胞にとって有害な作用が生じたり、正常な細胞機能が妨げられたりすることが、神経細胞の死を引き起こす原因になっていると考えられています。
これは、さまざまな神経変性疾患に共通する発症のメカニズムとされています。

神経変性疾患とは
神経変性疾患は、脳や脊髄にある神経細胞にダメージを与え、運動機能や認知機能にさまざまな障害を引き起こす病気です。
これらの疾患は一般的に進行性であり、時間が経つにつれて症状が悪化する傾向があります。
神経変性疾患がどのようなメカニズムで発生し、なぜ特定の人に起こるのか、またその発症のタイミングについては未だ不明な点が多いです。
しかし、高齢者に多く見られることから、加齢そのものがリスク要因であると考えられています。
以下に、神経変性疾患に関連する主な症状とそれに対応する疾患を紹介します。
症状 | 関連する疾患 |
スムーズな運動が困難になる | パーキンソン病、パーキンソン症候群(多系統萎縮症、進行性核上性麻痺など) |
体のバランスを保つのが難しい | 脊髄小脳変性症、一部の痙性対麻痺など |
筋力が低下する | 筋萎縮性側索硬化症(ALS)など |
認知機能が低下する | アルツハイマー病、レビー小体型認知症、皮質基底核変性症など |
リハビリの下地を作る再生医療
リハビリの下地を作る
再生医療
神経変性疾患は、通常の検査では異常が見つかりにくく、決定的な所見が得られないため、診断が難しいケースが多くあります。
診断には、自覚症状や生活状況などから手がかりを探る必要がありますが、特徴的な症状が少ないため、診断には時間がかかることもあります。
共通する主な症状としては、パーキンソン症候群(パーキンソン病に似た症状)、認知症、筋力の低下などが挙げられます。
神経変性疾患はかつては稀な病気とされていましたが、高齢化に伴い、潜在的な患者数は年々増加していると考えられています。
こうした疾患は一度進行すると、身体機能の回復に向けたリハビリテーションが必要となりますが、加齢とともに回復力は低下する傾向があります。
そのため、リハビリを行う前に、自己治癒力を引き出しやすい身体状態を整えることが重要です。再生医療は、こうしたリハビリの効果を高めるための「土台づくり」として、大きな役割を果たすと考えられています。

神経変性疾患の治療
神経変性疾患に苦しむ患者様の治療に注目が集まっているのが再生医療です。
大学病院や製薬会社では、パーキンソン病の方に対して、iPS細胞由来の治療の治験や研究が行われています。しかし、まだ多くの方が利用できる治療ではありません。
再生医療に使用されるのはiPS細胞の他にも、間葉系幹細胞があります。間葉系幹細胞は自身の骨髄や脂肪などから比較的容易に採取することのできる細胞です。 当院での再生医療は、特に神経に分化能力の高い、骨髄由来幹細胞を使用します。
神経変性疾患の治療のための再生医療は、様々な細胞に分化する機能を持つ幹細胞を用いて、神経変性疾患の進行を抑制させる目的で行う治療です。
患者様ご自身の骨髄から幹細胞を採取し、それを専門施設にて培養し、治療を行います。具体的な流れとしては、「採血(感染症検査)→骨髄液の採取→幹細胞の培養→幹細胞の投与」のステップを踏みます。
この培養された骨髄由来の幹細胞は、点滴を通じて体内に戻されます。これらの幹細胞は損傷を受けた神経細胞の再生を刺激し、それによって症状の改善を目指します。

骨髄間葉系幹細胞による
神経変性疾患の再生医療
骨髄間葉系幹細胞による神経変性疾患の再生医療
骨髄間葉系幹細胞は、骨髄の中にある幹細胞のことで、骨髄穿刺(骨に針を刺す)ことで採取することができます。骨髄は、骨の中にあるゼリー状の柔らかい組織です。
骨髄穿刺(こつずいせんし)は、従来から広く行われている手技であるため、安全な方法が確立されています。
骨髄液中から取った間葉系幹細胞は、他の部分(脂肪など)から採取された間葉系幹細胞よりも神経再生能力が高い細胞です。
そのため、骨髄由来間葉系幹細胞を利用した治療は、脳の神経細胞の損傷を受けた方への神経再生に最も効果が期待できます。また、ご自身の細胞を用いることができるため、拒否反応の心配がありません。
骨髄由来幹細胞点滴
当院で行っている骨髄由来の間葉系幹細胞を用いた治療は、再生医療です。
再生医療は「自分自身を治そうとする力(自己治癒力)」を最大限に引き出す方法です。
加えて、同時刺激(リハビリ等)を行うことで、相乗効果に期待することができます。
また、この治療法は、加齢に伴うさまざまな身体症状に対しても有効であるとされています。
特に、従来の治療では十分な改善が得られなかった患者様にとって、有力な選択肢となり得る治療法です。


狙った神経回路の再構築リニューロ®
かつては、一度損傷した脳や神経は再生せず、失われた機能も回復しないと考えられていました。
しかし、最新の研究により、脳には神経回路を適応的に変化させたり、新たな神経回路を形成したりする「脳の可塑性」が備わっていることが明らかになっています。
ただし、この可塑性(かそせい)が十分に発揮されないことが課題です。そこで重要なのが、狙った神経回路の再構築を促すアプローチです。
リニューロ®は、損傷した神経回路や失われた神経機能の回復・強化を促す特許技術を活用した神経障害治療です。
狙った神経回路の治る力を高める再生医療に加え、狙った神経回路の同時刺激による強化を組み合わせることで、神経回路の伝導を改善し、神経軸索の伸長を促します。これにより、より効率的かつ効果的に神経回路の再構築を目指します。
従来の再生医療が細胞や組織の再生に焦点を当てるのに対し、リニューロ®は「狙った神経回路の再構築」に特化。医学的・科学的根拠に基づく最先端技術を採用し、失われた機能の回復を目指します。

幅広い神経障害の治療に効果をもたらす方法として特許を取得
▶ 特許 7545714 世界14カ国 PCT/JP2021/028420
▶ 特許 7671950 世界14カ国PCT/JP2021/043813
神経変性疾患でお悩みの方への治療プラン
当院では、再生医療の効果を最大限に引き出すため、「同時刺激(リハビリ等)」を組み合わせた特許技術「リニューロ®」を採用しています。
骨髄由来の幹細胞点滴やサイトカインカクテル(点鼻)が体内に投与されると、神経や組織の修復を促す“治る力”が高まり、このタイミングに合わせてリハビリなどの患者様の症状に合わせた刺激を同時に行うことで、より回復が期待できます。
リハビリは神経障害に特化し、電気刺激・磁気刺激などの先進的な技術も組み合わせ、患者様一人ひとりの状態に応じてオーダーメイドで実施されます。また、ご自宅でも継続できるように、専門のセラピスト(理学療法士・作業療法士など)がホームトレーニングまで丁寧にサポートします。

お問い合わせ~治療開始の流れ

神経変性疾患の再生医療に関わるリスクと副作用
副作用 | 当院で行う骨髄穿刺、幹細胞の点滴投与は安全性が高い方法ですが、次のようなリスク、副作用の可能性があります。 当院ではリスク低減のため最大限の努力をしており、現在のところ重篤な副作用が発生した事例はありません。 ただし診察や検査の結果、治療に伴うリスクが高いと判断される場合には、治療を受けることができないことがありますので、あらかじめご了承ください。 |
骨髄穿刺(骨髄液採取) | ・局所麻酔に対するアレルギー ・穿刺部の出血、皮下血腫 ・穿刺部の不快感 ・穿刺部からの感染症 |
幹細胞点滴投与 | ・アレルギー ・肺血栓塞栓症 ・点滴刺入部からの感染症 ・点滴刺入部の発赤 |
料金について
- 専門カウンセラーによるカウンセリングは無料です。治療内容や疑問等お気軽にお問い合わせください。
- 当院の治療は自由診療です。
- 以下の料金は標準的な治療内容をご案内しております。
- モニター価格が適用となる場合がございます。お問合せください。
標準的な料金のご案内
項目
費用
診療/カウンセリング
¥11,000(税込)
感染症検査
¥11,000(税込)
幹細胞点滴3回コース
¥3,850,000(税込)
臍帯由来サイトカインカクテル(点鼻)3ヶ月コース90本
¥990,000(税込)
※名古屋院のみ幹細胞点滴の料金は上記価格にプラス¥550,000(税込)
【費用に含まるのもの】
- 再生医療(幹細胞の点滴投与)
- 同時刺激(患者様の状態に合わせたリハビリ等)
- 幹細胞採取
- 幹細胞の培養
- 安全性検査
- 処方薬(必要な場合)
- リハビリ評価
- フォロー検診
- リハビリ検診
- ホームトレーニング指導(院内にて)
料金について
- 専門カウンセラーによるカウンセリングは無料です。治療内容や疑問等お気軽にお問い合わせください。
- 当院の治療は自由診療です。
- 以下の料金は標準的な治療内容をご案内しております。
- モニター価格が適用となる場合がございます。お問合せください。
標準的な料金のご案内
項目
費用
診療/カウンセリング
¥11,000(税込)
感染症検査
¥11,000(税込)
幹細胞点滴3回コース
カクテル(点鼻)
3ヶ月コース90本
¥990,000(税込)
※名古屋院のみ幹細胞点滴の料金は上記価格にプラス¥550,000(税込)
【費用に含まるのもの】
- 再生医療(幹細胞の点滴投与)
- 同時刺激(患者様の状態に合わせたリハビリ等)
- 幹細胞採取
- 幹細胞の培養
- 安全性検査
- 処方薬(必要な場合)
- リハビリ評価
- フォロー検診
- リハビリ検診
- ホームトレーニング指導(院内にて)
お支払い方法(国内在住の日本人の方)
お支払い方法
(国内在住の日本人の方)
現金支払いの場合
治療費用は、幹細胞採取の当日までに当院の受付にて現金でお支払いください。
その際に領収書を発行いたします。
振込支払いの場合
幹細胞採取の当日までに、お知らせした指定の口座にお支払いください。
ご入金確認後、領収書を発行いたします。
(振込手数料は患者様ご負担となります)。
Q&A
血液をサラサラにする薬を服用していますが治療できますか?
幹細胞点滴に伴う骨髄穿刺では、患者様が現在服用している薬を中止したり、変更したりする必要はありません。血液をサラサラにする抗血小板剤や抗凝固剤についても同様で、中止する必要はありません。当院では、骨髄穿刺後に圧迫止血を丁寧に行う技術を徹底しているため、服用中の薬を継続したまま治療を受けていただけます。初診の際には、お薬手帳をご持参いただき、ご相談ください。
骨髄穿刺時は全身麻酔ですか?
当院では、骨髄穿刺は局所麻酔で行っております。全身麻酔を使用すると、入院や全身管理が必要になり、リスクが高まるため、基本的に局所麻酔での処置を行っています。