<この記事を読んでわかること>
・脳梗塞の前兆となる具体的な症状やサインがわかる。
・TIA(一過性脳虚血発作)の危険性とその症状について理解できる。
・脳梗塞を疑うべきシチュエーションと、早期に医療機関を受診する重要性が学べる。
脳梗塞の前兆や初期症状を詳しく解説します。
例えば、片側の手足のしびれ、ろれつが回らない、突然のめまいやバランス障害は要注意です。
一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞の警告サインであり、早期に発見し治療することが重要です。
脳卒中を防ぐための具体的な行動や受診のポイントについても紹介します。
脳梗塞の前兆となる症状とは?
脳梗塞は日本人の死因の上位に位置し、早期発見が重要です。
脳梗塞には以下のような代表的なタイプがあります。
- アテローム血栓性脳梗塞:脳の血管が動脈硬化などで詰まるタイプ。
- 心原性脳塞栓症:心房でできた血栓が血流に乗り、脳の血管を詰まらせるタイプ。
- ラクナ梗塞:高血圧などが原因で脳の細い血管が詰まるタイプ。
脳梗塞の前兆として最も重要なのがTIA(小さな発作)です。
TIAとは、日本語では一過性脳虚血発作という病態です。
TIAは、脳卒中の前触れ発作とも呼ばれており、早期に脳梗塞になってしまうリスクが高いとされています。
TIAを経験した人のうち、約15〜20%が90日以内に脳梗塞を発症します。
特に発症後2日以内は最も危険です。
TIAの神経症状として、以下のような物が挙げられます。
- 運動障害(片麻痺、上・下肢の単麻痺)
- 構音障害(話すことが難しくなる)、失語(言葉がでてこない、理解できない)
- 感覚障害(左右どちらかの半身のしびれ、感覚が鈍くなる)
- 同名半盲(視野の半分が欠ける)
- 一過性黒内障(一過性に片側の目が見えなくなる)
このような症状が見られた場合には、すぐに病院へ行くことが重要です。
手遅れになる前に行動しましょう。
神経内科や脳神経外科、救急外来を受診しましょう。
突然の片側の手足のしびれや脱力が示すリスク
突然の片側の手足のしびれ(特に右半身や左半身だけ)や脱力が見られた場合には、脳梗塞をはじめとするくも膜下出血や脳出血といった脳卒中の兆候かもしれません。
また、椎間板ヘルニアなどで脊髄から出ていく神経が圧迫されてしまっている場合もあります。
いずれにしても、突然片側の手足のしびれや脱力が見られる場合には、何か重大な健康障害が起こっているリスクがあります。
神経内科や脳神経外科を受診するようにしましょう。
めまいやバランス障害が前兆である可能性
めまいは耳の病気が原因であることも多いですが、脳卒中が隠れていることがあります。
具体的には、小脳や脳幹に脳卒中が起こると、めまいやバランス障害が前兆となる可能性があります。
小脳や脳幹は、体のバランスを保つ、平衡感覚を司っています。
そのため、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳卒中が起こり、小脳や脳幹が障害を受けるとめまいやバランス障害が起こる可能性があります。
半規管や耳石器の障害といった耳鼻科的な問題でも、めまいやバランス障害が起こる場合があります。
こうした耳鼻科的な病気と、脳卒中などの脳神経内科的な問題との違いは、以下のようになります。
- 脳の病気の場合、眼球や四肢、顔面などの運動麻痺や感覚障害も起こる場合が多い。
- 特に小脳の場合には、構音障害や四肢の運動失調が出現しうる。
しかしながら、めまいやバランス障害のみが小脳の脳血管障害のサインであることもあります。
突然めまいやバランス障害が現れた場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
言葉のもつれや会話の難しさが警告サインになる理由
言葉がスムーズに出てこない、話している途中で言葉が詰まる、相手の言葉が理解しづらいといった症状は、脳の言語機能を司る「言語野」が障害されている可能性があります。
これは脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の典型的な前兆として知られています。
特に、左大脳半球の損傷が原因で起こることが多く、この部分は「ブローカ野(発話)」「ウェルニッケ野(言語理解)」と呼ばれる言語をつかさどる重要なエリアです。
これらの部位が影響を受けると、次のような症状が現れることがあります:
- ろれつが回らない(構音障害):言葉を発する際に口の動きがうまくいかず、うまくしゃべれない状態。
- 失語症:言葉を思い浮かべても発音できない、あるいは理解できない状態。
言葉が「うまく出ない」ブローカ失語と、相手の話を理解できないウェルニッケ失語があります。 - 言葉の置き間違い:例えば、「ペンを取って」と言いたいのに「スプーンを取って」と言ってしまうなどの間違いが見られます。
一時的にこのような症状が現れてすぐに回復するケース(TIA)もあります。
TIAは短時間で症状が消えることが特徴ですが、放置すると脳梗塞へ移行するリスクが高いため、「症状が消えたから大丈夫」と思わずにすぐに医療機関を受診することが重要です。
医療機関をすぐに受診するようにしましょう。
まとめ
脳梗塞の前兆は小さな症状から始まります。
見逃さず、早期に受診することが最善の予防策です。
「FAST(顔・腕・言葉・時間)」という脳卒中のサインを確認する方法があります。
- F(Face: 顔):顔の片側が下がっていませんか?笑顔が歪んでいませんか?
- A(Arm: 腕):片方の腕がうまく上がらない、力が入らないことはありませんか?
- S(Speech: 言葉):ろれつが回らず、話すのが難しくありませんか?
- T(Time: 時間):この症状に気づいたらすぐに119番に通報し、救急車を呼びましょう。
一方で、脳梗塞による後遺症が残ってしまった場合にも、生活の質を保ち充実した人生を送ることは可能です。
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よくあるご質問
- 脳梗塞を防ぐ方法はありますか?
- 脳梗塞を防ぐには、高血圧や糖尿病の管理、禁煙、適度な運動が重要です。
食生活では塩分や脂肪を控え、野菜や魚を多く摂取するようにしましょう。
定期的な健康診断で動脈硬化の進行を確認し、必要に応じて医師の指導を受けることも大切です。 - 脳梗塞の初期症状が出たらどうすればいいですか?
- 脳梗塞の初期症状(片側のしびれ、ろれつが回らない、突然のめまいなど)が現れたら、すぐに救急車を呼び病院へ向かいましょう。
症状が短時間で消えても、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があり放置は危険です。
早期対応が後遺症を防ぐカギとなります。
<参照元>
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
Signs and Symptoms of Stroke|CDC:https://www.cdc.gov/stroke/signs-symptoms/index.html
しびれ – 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 – MSDマニュアル家庭版:https://www.msdmanuals.com/
脳梗塞 | 脳神経外科 京都大学医学部附属病院:https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis26/
一過性脳虚血発作は、早期に完成型脳梗塞を発症する可能性が高い|国立研究開発法人 国立循環器研究センター:https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cerebrovascular/tia-torikumi/
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