点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳幹梗塞とは?その特徴と発症メカニズム

<この記事を読んでわかること>

脳幹梗塞の原因がわかる
脳幹梗塞の症状がわかる
脳幹梗塞に対する早期治療の重要性がわかる


脳幹とは呼吸や循環動態・意識など、生命維持にとって必要不可欠な機能をコントロールしている、脳の中でも非常に重要な部位です。
そのため、脳幹への血流が途絶する脳幹梗塞に陥るとさまざまな神経症状をきたし、最悪の場合死に至る可能性もあります。
この記事では、脳幹梗塞の発症メカニズムや症状の特徴について詳しく解説します。

脳幹の役割と梗塞が与える身体への影響

脳幹の役割と梗塞が与える身体への影響
脳幹とは、大脳と脊髄の間に存在する脳の一部であり、呼吸能力や循環動態を適正に管理している非常に重要な臓器です。
脳幹は上から順に中脳・橋・延髄の3つの部位に細分化され、それぞれが連動して下記のようなさまざまな神経機能に関与しています。

  • 運動の指令(錐体路)の通り道
  • 感覚の情報の通り道
  • 心臓や血管の運動、呼吸能力の調整
  • 意識や覚醒に関与
  • 脳神経の上位核があり、各脳神経の支配

脳幹は大脳と脊髄を連結する架け橋のような役割を担うため、身体から脊髄を経由して脳に伝達される痛みなどの感覚や、逆に大脳から身体に伝達される運動の指令も全て脳幹を経由します。
脳幹が障害されると麻痺やしびれが出現するのはそのためです。
また、脳幹に網目状に分布する脳幹網様体は大脳にインパルスを送り、覚醒状態を保つ役割を担っているため、脳幹が障害されると意識状態が悪化します。
さらに、延髄には呼吸中枢や循環動態を正常に保つ中枢があるため、延髄が障害されると呼吸停止や心停止のリスクもあります。
また、脳幹の機能として最も特徴的なのが脳神経です。
人体に存在する12の脳神経(視神経・嗅神経・動眼神経・滑車神経・三叉神経・外転神経・顔面神経・内耳神経・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経)の上位核が脳幹に位置しており、脳幹が障害されるとこれらの脳神経の機能も障害されます。
例えば、延髄が障害されれば舌咽神経や舌下神経に障害が生じ、舌の運動や味覚が低下することで構音障害や嚥下障害・味覚障害をきたします。
12神経は頭部や顔面のさまざまな運動・感覚に関わっており、脳幹が障害されることで複数の脳神経が同時に障害され、多彩な神経症状をきたすため注意が必要です。

脳幹梗塞が引き起こされる原因とリスク要因

脳幹梗塞が引き起こされる原因とリスク要因
では、なぜ脳幹梗塞が引き起こされるのでしょうか??
脳幹梗塞の主な原因は、脳梗塞と同様に動脈硬化です。
動脈硬化とは、高血圧や糖尿病・高脂血症などの生活習慣病が長期化して動脈の血管内皮細胞に小さな傷ができることで、血管壁内にLDLコレステロールが入り込み、血管を脆く・硬く変性させる病態です。
動脈硬化が進展した結果、血管内腔が狭小化するため閉塞しやすく、また血栓も形成されやすくなるため、梗塞を引き起こしやすくなります。
そのため、脳幹梗塞を予防するためには規則正しい食生活や運動習慣・ストレスの発散・禁煙や禁酒などが肝要です。
また、ほかにも下記のような要因が脳幹梗塞のリスクです。

  • 心房細動などの不整脈疾患
  • 心臓外科手術後の人工弁留置
  • 血管炎
  • ピルやトラネキサム酸の長期内服
  • 血管内操作伴う医原性
  • 動脈解離

発症時に見られる主な症状と緊急対応の重要性

脳幹梗塞を発症すると、主に下記のような症状が出現します。

  • 麻痺やしびれ
  • 嘔気嘔吐
  • 頭痛
  • 複視
  • 顔面神経麻痺
  • 構音障害
  • 嚥下障害
  • 意識障害
  • 呼吸停止

先述したように、脳幹には脳神経の上位核が存在しているため、脳幹の障害される範囲によっては広範囲にさまざまな神経症状をきたします。
特に注意が必要なのは、延髄が障害される場合です。
延髄が障害されると呼吸能力や心臓の適切な運動が得られなくなる可能性があり、そのまま死に至る危険性もあります。
そこで重要なのが、早期発見・早期治療です。
脳幹梗塞は発症から治療開始までの時間によって治療方針が異なり、早期発見できれば血栓を直接的に溶解させ、梗塞した血管の再開通が目指せます。
具体的には、4.5時間以内の治療開始が条件となるため、上記のような症状を認めた場合は早急に医療機関を受診しましょう。

まとめ

今回の記事では、脳幹梗塞の特徴や発症メカニズムについて詳しく解説しました。
脳幹は脳の中でも非常に多くの機能を有している部位であり、特に命に関わるような呼吸・循環・意識も調整しているため、梗塞によって障害されるとさまざまな神経症状をきたします。
治療が遅れて後遺症が残ってしまうと、症状改善の唯一の策はリハビリテーションですが、根治することが困難であり、あくまで症状の緩和が主な治療目的となります。
そこで、近年では脳幹梗塞に伴う重篤な神経学的後遺症に対する再生医療の効果が大変注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった脳幹梗塞による神経学的後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

脳幹梗塞の特徴は?
脳幹は中脳・橋・延髄で司っている機能が異なるため、脳幹梗塞に陥った際に出現する症状が多彩で、典型的な症状が出にくい点が特徴です。
例えば、中脳が障害されると眼球運動が障害されやすく、橋が障害されると表情筋の麻痺が出現する可能性があります。

脳幹出血の特徴は?
脳幹出血の特徴は、治療が困難な点です。
脳幹梗塞であれば血管内治療や点滴治療で改善が見込めますが、脳内部の出血の場合手術が必要となります。
しかし、脳幹は脳の深部に位置しており、体外からアプローチしにくいため、手術が困難な例が多いです。

<参照元>
MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
日本脳卒中学会:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf

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