<この記事を読んでわかること>
頭痛持ちの方が知っておくべき危険な頭痛の特徴がわかる。
くも膜下出血による頭痛の前兆とその見分け方がわかる。
前触れとして現れる吐き気や視覚異常がわかる。
普段から頭痛に悩まされている方こそ注意が必要です。
くも膜下出血などの二次性頭痛は、突然の激しい痛みや視野障害、吐き気などを伴い、命に関わる可能性もあります。
この記事では、特にくも膜下出血の前触れとして現れる症状や早期受診の重要性、マイナーリークの見逃しを防ぐポイントについて詳しく解説します。
頭痛持ちの方が知っておくべき危険な頭痛の特徴
頭痛に悩まされている方は少なくありません。
そもそも頭痛には、脳の構造などに問題がみられない「一次性頭痛」と、何らかの病気による「二次性頭痛」があります。
一次性頭痛には、片頭痛や緊張性頭痛、群発性頭痛があります。
一方で、二次性頭痛としては、外傷によるもの、頭頸部血管障害によるもの、脳腫瘍などの非血管性頭蓋内疾患による頭痛、感染症による頭痛、顔や歯などの問題によって起こる頭痛、精神疾患による頭痛などがあります。
一次性頭痛は命に関わることはほぼありません。
しかし、二次性頭痛は放置しておくと最悪の場合、命を失ってしまうことにつながる可能性があります。
特に、脳血管障害による頭痛は治療が遅れると死亡してしまったり、麻痺や言語障害などの後遺症が残ってしまったりする恐れもあります。
さて、以下のような場合には二次性頭痛を疑って、早めに医療機関を受診し検索を行うなどが必要とされています。
- 発熱を含む全身症状
- 新生物(がんなど)の既往がある
- 意識レベルの低下を含めた神経脱落症状または機能不全がある
- 急または突然に発症する頭痛がある
- 50歳以降に発症する頭痛
- 頭痛パターンが変化しているあるいは最近発症した新しい頭痛
- 姿勢によって変わる頭痛
- くしゃみ、咳、または運動により誘発される頭痛
- 乳頭浮腫
- 痛みや症状が進行する頭痛、非典型的な頭痛
- 妊娠または出産後すぐ
- 自律神経症状を伴う眼の痛み
- 怪我をした後の頭痛
- HIVなどの免疫系の病気がある
- 鎮痛薬使用の過剰使用もしくは新たな薬剤使用に伴う頭痛
いずれかに当てはまる場合には、危険な頭痛の可能性もあり、注意が必要です。
手足の麻痺や言葉の発しづらさ、顔の左右差がある麻痺などがある場合には、早急に救急外来を受診するようにしましょう。
救急車を呼ぶこともためらわないようにしましょう。
くも膜下出血による頭痛の前兆とその見分け方
急激に起こる頭痛を引き起こす二次性頭痛の中でも、くも膜下出血は特に重要です。
くも膜下出血とは、脳の表面を覆う膜の下にある「くも膜下腔」に出血をきたす疾患です。
原因の多くは、脳の太い血管にできた動脈瘤(血管のこぶ)が破裂することによります。
くも膜下出血は、脳血管障害による頭痛の中でも、もっとも死亡するリスクが高く、迅速に対応する必要があるものです。
この頭痛は、典型的には、「突然起こる」「これまで経験したことがない」という特徴があります。
実際には「数日前からの頭痛」を訴える方でくも膜下出血が起こっていたということもあります。
また、大きなくも膜下出血が起こる前に、少量の出血であるマイナーリークが20%ほどの方に認められることがあります。
マイナーリークの段階でくも膜下出血と診断された場合と誤診された場合では、予後に大きな差が生まれます。
マイナーリークの症状としては、突然の頭痛が最も多くみられるとされています。
くも膜下出血かどうかを症状だけで見極めるのは難しいですが、意識消失やめまいなどを伴う場合には、緊急性が高まります。
このような症状が認められる場合には、早急に救急車を呼ぶことが大切です。
前触れとして現れる吐き気や視覚異常に注目
マイナーリークの場合には吐き気や嘔吐などの症状が現れるケースもあります。
さらに、動脈瘤が視神経を圧迫すると、視野障害が起こることもあります。
例えば、「片目の一部が見えにくくなる」「物が二重に見える」「急に片方の視野が欠ける」といった症状が現れることがあります。
初期には「目がかすむ」程度で見過ごされやすいものの、視神経への圧迫が進むと、失明に至るケースもあるため注意が必要です。
視野の異常に気づいたら、頭痛の有無にかかわらず眼科や神経内科を早めに受診しましょう。
加えて、2〜13%程度の方で、眼の硝子体(しょうしたい)出血(Terson症候群)が起こることが報告されています。
硝子体は、眼球の中を満たしているゲル状の物質であり、眼を透明に保つ役割などを果たしています。
硝子体出血は重症のくも膜下出血や再出血例に多くみられるとされています。
さらに、くも膜下出血の経過は不良となり、治癒が難しいケースも多いとされています。
まとめ
普段から頭痛に悩まされている方も、「いつもの頭痛」と思い込んでしまうことで、重大な病気のサインを見逃してしまうことがあります。
中でもくも膜下出血は、命に関わる危険な頭痛の代表例であり、早期発見・治療が何より重要です。
突然起こる激しい頭痛、意識障害、視覚異常や吐き気などがみられた場合には、速やかに医療機関を受診するか、迷わず救急車を呼ぶ判断が必要です。
脳卒中や神経障害に対しては、再生医療によるアプローチも注目されています。
ニューロテックでは、くも膜下出血後の神経障害に対し、神経の「治る力」を高める狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療リニューロ®という再生医療プログラムを提供しています。
もしものときのために、危険な頭痛の前兆を知っておくことが、ご自身の命を守る第一歩になります。
よくあるご質問
- くも膜下出血の前触れは?
- 前触れとして、突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)や、いつもと違う頭痛が数日前から起こることがあります。
これは「マイナーリーク」と呼ばれる少量出血の可能性があり、早期に受診することで重篤な出血を防げることもあります。 - 軽いくも膜下出血の症状は?
- 軽いくも膜下出血では、突発的な頭痛に加え、吐き気や視野の異常、めまい、意識の一時的な低下などがみられることがあります。
重症化する前に気づき、早めに医療機関を受診することが大切です。
(1)「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会:https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_2021.pdf
(2)脳血管性障害による頭痛:性状・診断・治療.日本頭痛学会誌.2022;49:149-151.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjho/49/1/49_149/_pdf/-char/ja
(3)-3 くも膜下出血はどう診断するか – 日本頭痛学会:https://www.jhsnet.net/GUIDELINE/1/1-3.htm
(4)Terson症候群をきたしたくも膜下出血20例の臨床的検討.脳卒中の外科.2006;34:294-298.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/34/4/34_4_294/_pdf
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